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消防用設備点検とは?対象となる建物や実施周期、点検の流れなどについて解説

2022/5/13

消防用設備点検は、消防用設備を適切に維持・管理し、火災時の避難や初期消火に役立てるために欠かせない点検です。

防火対象物の関係者は、消防法によって定められた周期で、消防用設備の点検を実施し、結果を報告しなければなりません。そのため、消防用設備点検の内容を知り、点検の時期を逃さないよう注意しましょう。

本記事では、消防用設備点検の種類や実施周期のほか、対象となる建物の種類や、点検・報告の流れなど、点検の基本情報について解説します。消防用設備のある建物を所有または管理している方は、ぜひ参考にしてください。

消防用設備点検とは?

消防用設備点検とは、消防法第17条の3の3で定められた、消防用設備等の法定点検制度のことを指します。

第四章 消防の設備等
第十七条の三の三 第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

出典:消防法

防火対象物の関係者は、有資格者による点検を定期的に実施したうえで、管轄の消防署または出張所の消防長・消防署長に点検報告を行う義務があります。点検を確実に実施できるよう、計画的な点検準備を行いましょう。

なお、消防用設備とは、消火設備、警報設備、避難設備、消火活動において必要な設備、電源関係、その他防災設備の総称です。具体的には、消火器、誘導灯、自動火災報知設備、屋内消火栓設備などが消防用設備にあたります。これらの設備が不具合なく作動するかを確認することが、消防用設備点検のおもな内容です。

消防用設備イメージ

消防用設備点検の対象となる建物

消防用設備点検の対象となるのは、下記の建築物です。自身の所有または管理する建築物が点検対象となっている場合は、必ず消防設備士または消防設備点検有資格者に依頼して、点検を実施するようにしましょう。

延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物

特定防火対象物とは、不特定多数の人が出入りする劇場、映画館、ナイトクラブ、飲食店、旅館、ホテル、病院、老人ホームなどのことを指します。
これらの建築物のうち、延べ面積(各階の床面積を合計した面積)が1,000㎡以上のものが、消防用設備点検の対象です。
多くの人が利用するこれらの施設では、避難に時間がかかる場合が多く、消火設備の必要性がより高くなっています。

延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物で、消防長または消防署長が指定するもの

特定防火対象物に指定されていない建築物であっても、延べ面積が1,000㎡以上で、消防長または消防署長が指定するものは、消防用設備点検の対象になります。
非特定防火対象物とは、小学校、中学校、高等学校、図書館、博物館、美術館、神社、寺院、教会、工場などのことを指します。
これらの建築物は特定防火対象物ではないものの、各地域の消防長・消防署長が必要と判断した場合には、消防設備点検を行う義務が生じます。

特定一階段等防火対象物

特定一階段等防火対象物とは、屋内階段が1つしかなく、1階・2階以外の階に「特定用途部分」がある建物のことを指します。
特定用途部分とは、不特定多数の人が出入する場所が火災になった際に避難に支障をきたす部分のことです。遊技場、キャバレー、飲食店、物品販売店舗などが特定用途部分にあたります。

消防用設備点検の種類と実施周期

消防用設備点検は、機器点検と総合点検の2種類があり、それぞれ実施周期が異なります。点検時期を逃さないよう、点検の内容と周期を知っておきましょう。

機器点検:6ヵ月に1回実施

機器点検では、6ヵ月に1回、消防用設備等の設置状況などを簡易的に点検します。点検項目は以下のとおりです。

  • 消防用設備等に付置される非常電源(自家発電設備に限る)。又は動力消防ポンプの正常な作動
  • 消防用設備等の機器の適正な配置、損傷等の有無その他主として外観から判別できる事項
  • 消防用設備等の機能について、外観から又は簡易な操作により判別できる事項

出典:総務省消防庁「消防用設備等には定期点検が必要です。

総合点検:1年に1回実施

総合点検は1年に1回実施され、消防用設備等の全部もしくは一部を作動、または使用して、消防用設備の総合的な機能を確認します。
点検の内容は消防用設備等の種類に応じて異なり、総合点検がなく機器点検のみ実施される場合もあります。

消防用設備点検・報告の流れ

消防用設備点検の流れは下記のとおりです。工程を確認し、早めに点検の準備をしておきましょう。

  • 消防設備業者などに点検を依頼
    点検の時期が近づいてきたら、消防設備業者に点検を依頼しましょう。業者によって点検の金額やサービス内容が異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し、最適な業者を選びましょう。
  • 消防設備士等の有資格者が消防設備を点検
    消防設備業者が決定したら、日程を決めて点検してもらいます。点検は消防設備士または消防設備点検有資格者のみが実施します。
  • 点検担当者が作成した点検結果報告書を管轄の消防署または消防出張所へ提出
    特定防火対象物の場合は1年に1回、非特定防火対象物の場合は3年に1回、管轄の消防署または消防出張所に点検結果報告書を提出します。報告と同時に、防火対象物の維持台帳にも、点検結果を忘れずに記録しておきましょう。
  • 不備が認められた場合には、速やかに改修を行う
    万一、設備に不備があると判断された場合には、速やかに必要な改修を行いましょう。

消防用設備点検・報告を怠ると、罰則が科されるため注意

消防設備点検は、火災が発生した場合に人命や財産への被害を最小限に抑えられるよう、消防設備の設置状況と動作を確認する大切な点検です。
点検の重要性から、消防用設備点検の報告を行わない場合、消防法第44条に基づき30万円以下の罰金または拘留という罰則が科されます。

また、以下のような不備があった場合にも罰則の対象となるため、点検時期を逃さないよう注意し、点検報告書の内容を必ず確認しましょう。

  • 無資格者による点検をしていた
  • 建物の全階の点検をしなかった
  • 事実と異なる虚偽の報告をした
  • 点検期間周期を守らなかった

消防用設備点検のご依頼

消防用設備点検は、消防設備を適切に維持するために欠かせない点検です。点検は6ヵ月に1回の機器点検と、1年に1回の総合点検に分かれています。点検の対象となっている防火対象物の関係者は、点検時期を逃さないよう注意しましょう。
点検は、消防設備士または消防設備点検有資格者しか行えません。複数の消防設備業者から見積もりをとったうえで、信頼できる業者に点検を依頼しましょう。
消防用設備点検でお困りの際は、建築基準法第12条定期報告の年間検査実績9,800件*を持つビューローベリタスへお気軽にご相談ください。

*2021年度実績

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