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建築設備定期検査とは?検査内容や通知について、基本的な情報を紹介

2022/3/28

点検作業中の作業員

建築設備定期検査とは、建物利用者が安全かつ快適に過ごせる環境を整備するために行われる検査のことです。法律によって検査・報告の義務が定められているため、対象となる建築設備を所有・管理している場合は、必ず実施しなければなりません。

しかし、実際に特定行政庁から検査・報告を求める通知書が届いた場合、何をどうすべきかわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、建物設備定期検査における概要や4つの検査項目について解説します。さらに、通知書が届いた際の対処法についても紹介するので、対象建築設備のオーナー・管理者の方は、検査を実施する際の参考にしてください。

建築設備定期検査とは?

建築設備定期検査とは、換気や給排水、排煙、非常用の照明装置に関わる建築設備の定期的な点検を通じて、建物利用者の健康・安全および快適性を確保する検査のことです。火災や地震、その他の自然災害といった有事から建物利用者を守るという目的も踏まえて行われています。

以下は建築基準法第12条で定められた4つの定期検査です。

  • 特定建築物定期調査
  • 建築設備定期検査
  • 防火設備定期検査
  • 昇降機等定期検査

「特定建築物定期調査」と「建築設備定期検査」は、どちらも特定行政庁から指定を受けた特定建築物の場合に実施されますが、前者は“建物”自体、後者は建物に備え付けられた“設備”が検査対象となります。

建築設備定期検査の対象となる設備は、以下の4つです。

  • 換気設備
  • 排煙設備
  • 非常用の照明装置
  • 給排水設備

特定建築物に関する詳しい情報は、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:
特定建築物とは? ~ 特定建築物に該当した場合にすべきこと ~

建築設備定期検査の内容

建物の換気設備

建築設備定期検査は、特定行政庁から「特定建築物」に指定されており、かつ「換気設備」「排煙設備」「非常用の照明装置」「給排水設備」を備えた建物の場合に実施されます。

ただし、4つの対象設備の内容や条件は法令上の指定がなく、特定行政庁によって扱いがそれぞれ変わるため注意が必要です。細かく指定されるケースもあれば、指定がまったくないケースもあるため、初めて検査を受ける方は戸惑ってしまうかもしれません。

また、報告種別もケースによって異なります。検査の際は、必ず特定行政庁のウェブサイトや通知書の内容をしっかり確認しましょう。

対象設備(1)換気設備

換気設備は、建物内の空気を清浄に保てるように給気・排気を機械的に行うものです。新鮮な空気を取り入れることは快適性を向上させるだけではなく、健康を維持するためにも欠かせません。

換気設備の検査では、換気用の機械などがきちんと動作しているかどうかをチェックします。具体的には、換気扇の動作確認や換気フードの風量測定、給気口・排気口の位置確認といったものが挙げられます。

また、火災などの有事の際に作動する防火ダンパーの点検・確認も行われます。

対象設備(2)排煙設備

排煙設備は、火災などが起こった際に建物内で発生する一酸化炭素や煙を屋外へと排出するものです。普段から作動させるものではないため、不具合があっても気付きにくい設備といえるでしょう。

しかし、一酸化炭素や煙は人体にとって有害であり、中毒などで施設利用者が亡くなるおそれもあるため、排煙設備は建物利用者の安全を守るためには必要不可欠の設備です。

排煙設備の検査では、排煙機の動作確認や排気する際の風量測定、排煙口や排煙風道などの設置確認が行われます。

対象設備(3)非常用の照明装置

非常用の照明装置は、火災や地震などで常用電源が落ちた時に点灯して建物内の視界を確保するものです。避難経路や周囲の状況がわかりやすくなるのはもちろん、消火活動や救助活動も行いやすくなるので、有事によるパニックを抑制できます。

非常用の照明装置の検査では、必要な照明器具がきちんと設置されているか、不備なく点灯するかどうかなどをチェックします。また、照度測定も行われるため、明るさも重要なポイントです。

なお、非常用の照明装置は電源内蔵型か別置型かで点検時の点灯方法が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

対象設備(4)給排水設備

給排水設備は、衛生的な生活用水の給水、および汚水や雨水などの排水を行なうものです。給水・排水がきちんと行われなかった場合、飲料水にサビや汚れが混じったり、建物内の衛生環境が悪化したりするため、建物利用者の健康にも悪影響をおよ及ぼしかねません。

給水設備の検査では、受水槽・高架水槽・加圧給水配管などが適切に設置されているか、給水ポンプの状態や作動状況に不備がないかなどをチェックします。

一方、排水設備の検査では、汚水槽や排水管などの設置状況や貫通部における処理状況、腐食や詰まりの有無がおもなチェックポイントです。

なお、給排水設備の検査については、排水再利用配管設備(中水設備)が設置されている建物では1年から3年の間隔をおいて点検することになっています。

より詳しい検査内容については、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:
築設備定期検査の重要性・検査内容(建築基準法 第12条)

建築設備定期検査の通知が届いたらどうする?

建築設備定期検査の時期が来ると、建物のオーナーや管理者のもとに通知書が届きます。

検査を怠ったり、虚偽の報告を行なったりした場合、建築物の安全性や快適性を保てなくなるだけではなく、100万円以下の罰金といった規定もあるため、きちんと検査を実施することが大切です。

ここからは、通知書が届いた際の対処法を3つのステップに分けて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

STEP1:検査を依頼する会社を探す

建築設備定期検査は、快適な環境を作り、不測の事態から建物利用者を守る設備の点検です。そのため、豊富な実績・経験を持っていて信頼できる検査会社に依頼することが重要となります。

また、先述したとおり地域によって検査項目が細かく異なるケースがあるため、全国に実績がある会社、またはその地域特有のルールを熟知している会社を探すことも大切です。

その他、検査にかかる費用も会社によって変動します。金銭的な負担を抑えたい場合は、複数の会社から見積りを取ったうえで、金額や対応の丁寧さを比較し、安心して依頼先を決めましょう。

STEP2:必要書類をそろえる

建築設備定期検査を依頼する場合、検査や報告書の作成に必要な書類をそろえる必要があります。何を準備すべきかわからない場合、対応がしっかりしている検査会社を選ぶことにより、細かい部分までサポートしてもらえます。

初回検査で必要となるおもな書類

  • 確認済証
  • 検査済証
  • 建築平面図
  • 設備図面(換気設備・排煙設備・非常用照明設備・給排水設備)
  • 面積記載図

STEP3:報告書を確認・押印して特定行政庁に送付する

検査が終わると、検査会社から報告書が届きます。内容を確認し、問題がなければ検査会社に連絡をしましょう。書類に不備がなければ、検査会社から管轄の特定行政庁へ送付されます。

行政庁によっては「建築設備定期検査報告済証」が発行されるので、建物利用者が見やすい位置に掲示して、建物の安全性を伝えましょう。

まとめ

建築設備定期検査は法律によって定められているため、通知書が届いたら必ず実施しなければなりません。換気設備や排煙設備がきちんと機能しているかを確認することは、建築物の安全性や快適性の維持につながるので、建物のオーナー・管理者が果たすべき義務としてしっかりと取り組みましょう。

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