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定期報告(12条点検)における要是正とは?~よくある指摘項目や対処法、罰則について解説~

2024/01/09

デパートやホテルなど、多くの人々が利用する建物に対して義務付けられた12条点検では、報告された各設備の状況に応じて「指摘なし」「要是正」などの判定が通知されます。判定によってはただちに改善が必要となり、対応を怠ると重大な事故につながる可能性があります。

本記事では、要是正をはじめとする12条点検の判定の意味、おもな指摘項目、罰則などについて詳しく解説します。

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12条点検における「要是正」とは?

12条点検終了後に調査会社から送られてくる調査報告書の内容は、しっかりと確認してください。調査報告書には各設備の状態が記載されており、問題が生じている箇所には「要是正」などの判定が記入されています。判定内容によっては、改善しなければ是正命令などの厳しい措置を受ける可能性もあるため、判定の意味を適切に理解しておくことが重要です。

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12条点検の結果には、3つの判定がある

12条点検の判定には、「要是正」「既存不適格」「指摘なし」の3種類の判定があります。それぞれの判定内容と意味を確認し、適切に対応できるようにしましょう。

  • 要是正
    要是正判定は、3種類の判定のなかで最も重い判定です。修理や部品交換などの方法により、該当設備の不具合の是正が必要な状態であることを指します。

    要是正判定を受けた建物・設備の所有者または管理者は、早期に状況を改善しなければなりません。もし、要是正の判定を無視して不具合を放置した場合は、特定行政庁から是正状況の報告聴取や是正命令などがなされることがあります。

  • 既存不適格
    既存不適格判定は、着工時は法令や基準に適合していても、現行の建築基準法には適合していない、または不適格な部分が生じている状態を指す判定です。

    建築基準法は定期的に法改正が行なわれ、基準が変化していくため、年月が経てば既存不適格になる可能性があります。したがって、増改築等を実施しない限り建築基準法上の是正義務はありませんが、改善検討が求められます。

  • 指摘なし
    指摘なしの判定は、該当設備に不具合などの問題がないと判定された状態です。ただし、指摘なしとなっている場合でも、特記事項として何らかの注意を促されるケースがあります。
    次回の点検時には要是正や既存不適格になる可能性があるため、特記事項の内容はしっかりと確認しておきましょう。

12条点検 よくある要是正の指摘項目

12条点検の各定期調査において、要是正判定が特に多いのは下記のような項目です。

建築物定期調査
  • 非常用の照明装置
  • 外装仕上げ材など
  • 防火設備(防火扉、防火シャッターなど)
建築設備定期検査 非常用の照明装置
  • 予備電源
  • 非常用の照明器具
  • 照度
防火設備定期検査
  • 防火扉
  • 防火シャッター
  • 耐火クロススクリーン
  • ドレンチャーとその他水幕を形成する防火設備
昇降機定期検査
  • 外部への連絡装置
  • 機械室内の状況、照明装置および換気設備など
  • 停電灯装置

12条点検で要是正と判定された場合どうする?

12条点検の結果、要是正と判定された場合には、早急に該当設備の是正計画の立案や「是正計画書」の作成、所管定期報告窓口への提出などの対応が必要です。該当設備の是正後は、「是正報告書」や「改善完了報告書」を作成・提出することで対応完了となります。

なお、要是正判定への対応は自治体ごとに定められており、手続き方法や必要書類が異なる点に注意が必要です。上記の対応は一例のため、必ず管轄の特定行政庁に相談し、漏れなく対応しましょう。

また、是正のための具体的な対策は、所有者・管理者が決めなくてはいけません。そのため、是正計画や対策を決定するときには、12条点検サービスを提供している有資格者に相談しましょう。

こうした12条点検に関する悩みをお持ちの方は、一度ビューローベリタスへご相談ください。
ビューローベリタスは、年間調査数1万2,000件(2022年)の実績があり、建物などの点検・調査に特化しています。また既存建物の法定点検をすべてサポートし、日本全国のさまざまな建物の点検を行なっています。是正対応を含め、お客さまが抱える12条点検の悩みや不安をしっかりとサポートします。

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12条点検で要是正の指摘を無視した場合、罰則はある?

12条点検で要是正判定がされた設備は、自然災害や火災が発生したときなどに被害が拡大する恐れがあります。そのため、建築基準法第9条第1項では、要是正と判定された所有者・管理者に対し、特定行政庁は必要な措置を命ずることができると規定しています。

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

引用:建築基準法第9条第1項|e-Gov法令検索

さらに、建築基準法第98条第1項では、命令に違反した所有者・管理者に対する罰則について、下記のように明記されています。

「次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

一 第九条第一項又は第十項前段(これらの規定を第八十八条第一項から第三項まで又は第九十条第三項において準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者」

引用:建築基準法第98条第1項|e-Gov法令検索

つまり、12条点検の報告書に要是正の判定がされたにもかかわらず、特定行政庁からの是正の命令を無視し、是正を行なわない場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

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まとめ

12条点検の判定は、「要是正」「既存不適格判定」「指摘なし」の3つです。なかでも要是正は早急な対応が求められ、命令などを受けても改善が見られない建築物の所有者・管理者には罰則が科される可能性があります。要是正の判定がなされた場合は、該当箇所の修理・交換など速やかな対応が必要です。

ビューローベリタスの12条点検は、大型物件などの特殊建物にも対応しており、専門知識を身に付けた調査員が細部まで丁寧に調査します。さらに、お客さまの予定に合わせて調査スケジュールを決定するため、事業や業務への影響を最小限に抑えた点検が可能です。
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