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消防法第8条の2の2 防火対象物点検の対象と点検項目について解説
2018/06/27
今回は、お問い合わせの多い防火対象物点検の対象建物と点検内容について説明いたします。
制度発足の経緯
平成13年9月1日に新宿区歌舞伎町で発生したビル火災は、小規模な複合ビルにもかかわらず44名が亡くなり、33名の犠牲者を出した昭和57年のホテルニュージャパンの火災を上回る大惨事となりました。
被害が大きくなった要因には、階段に避難障害となる物品が置かれていたこと、防火管理者が選任されておらず避難訓練も行われていなかったこと、消防用設備等の点検も行われていなかったことなどの消防法令違反がありました。
防火対象物点検報告制度は、防火管理が適正に行われるよう防火対象物の関係者による日頃のチェック体制の確認と管理に対する自主性の向上を目的とし、一定の防火対象物の管理について権原を有する者は防火対象物点検資格者に防火管理上必要な業務等について点検をさせ、その結果を消防長又は消防署長に報告することが義務づけられています。
主な点検項目
- 防火管理者を選任しているか
- 消化・通報・避難訓練を実施しているか
- 避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか
- 防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか
- カーテン等の防火対象物に防火性能を有する旨の表示が付けられているか
- 消防法令の基準による消防設備等が設置されているか
対象用途
- 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
- 公会堂又は集会場
- キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
- 遊技場又はダンスホール
- ファッションマッサージ、テレクラなどの性風俗関連特殊営業を営む店舗等
- 待合、料理店その他これらに類するもの
- 飲食店
- 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又展示場
- 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
- 病院、診療所又は助産所
- 主として要介護状態にある者又は重度の障害者等が入所する施設、 救護施設、乳児施設、乳児院、認知症高齢者グループホーム等
- 老人福祉施設、有料老人ホーム
- 障害福祉サービス事業を行う施設等
- 幼稚園又は特別支援学校
- 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの
- 複合用途防火対象物のうち、その一部が1~7に該当する用途に供されているもの
- 地下街
上記用途での対象
30人未満・・・対象外
30人以上300人未満・・・条件付き対象 (*1)
300人以上・・・全ての建物が対象
(*1) 点検報告義務の対象となる防火対象物
- 特定用途(対象用途の1~7に該当する用途)が3階以上の階又は地階に存するもの。
- 階段が1つのもの(屋外に設けられた階段であれば免除)
出典:総務省消防庁・違反是正支援センター リーフレット(抜粋)
防火対象物報告制度には罰則があります
- 「防火基準点検済証」「防火・防災基準点検済証」「防火優良認定証」「防火・防災優良認定証」を表示できる要件を満たしていないにも関わらず表示をした場合、または紛らわしい表示をした場合 ⇒30万円以下の罰金又は勾留(消防法第44条第3号)
- 防火対象物点検の報告をしない、または虚偽の報告をした場合 ⇒30万円以下の罰金又は勾留(消防法第44条第11号)
- 前述の1及び2についてはその行為者のほか、その法人に対して30万円以下の罰金刑(消防法第45条第3号)
特例認定
防火対象物定期点検報告義務のある建物のオーナー等の申請により、消防長又は消防署長が検査し、特例要件に適合すると認められた建物は、3年以内に限り点検及び報告義務が免除され、また、利用者に当該建物が消防法令に適合している旨の情報を提供するため、防火優良認定証を表示することができます。
[認定条件]
- 管理を開始してから3年以上経過している
- 過去3年以内に消防法令違反をしたことによる命令を受けていないこと
- 過去3年以内に防火対象物点検報告が1年ごとにされている
- 防火管理者の選任及び消防計画の作成の届出がされている
- 消防訓練及び避難訓練を年2回以上施設し、あらかじめ消防機関に通報している
- 消防用設備等点検報告がされている
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