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マンション・共同住宅の特定建築物定期調査-調査内容と事前準備のポイント

2021/07/13

2021年度は、建築基準法 第12条 定期報告(特定建築物定期調査)において、共同住宅が対象となる自治体が多い年度です(東京都・大阪府など)。そこで、共同住宅における調査内容と調査前の事前準備で押さえておきたい基本的なポイントをご案内します。

1. 特定建築物定期調査の調査内容

調査場所は主に、建物の屋上を含めた外周、エントランス部分や廊下などの共用部分です。

  • 外壁(地上・共用部から手の届く範囲)
  • 屋上(防水)
  • 給排水設備(屋上や地下に設置された給水タンク等)
  • 非常用照明(エントランス部分や廊下など)
  • 防火設備(管理室などに設置された防火シャッター。エレベーター付近や階段の防火扉など)
これらを主に確認しますが、調査を円滑に進めるにあたり、事前準備が重要となります。

2. 事前準備のポイント

① 鍵の確認

エントランスや屋上、電気室等、施錠されている箇所に立ち入りして確認をするため、開錠が必要です。現地に管理人が常駐していない、または常時不在の共同住宅もあるので、管理人の勤務時間帯や、調査時に必要な鍵の確認・受け渡し・返却方法を共同住宅の管理者と調査者で事前に確認しておきます。

②外壁調査(改修)時期の確認

タイル等の湿式工法の外壁に関しては、10年に一度、全面打診等の調査が必要ですが、全面打診等未実施の指摘をされるケースが多くみられます。長期修繕計画等において、外壁調査・改修の時期が計画されているかどうかを確認することが必要です。

③専有部への立ち入り確認

基本的に専有部(住戸内)の調査はありませんので、居住者に負担をかけることは少ないのですが、建物によっては専有部に立ち入りが必要な場合があります。例えば、ある居住者のルーフバルコニーを経由しないと確認できない屋上部分がある場合や、1階の専用庭* が上層階から避難ハッチを通じた避難経路になっている場合には、1階専用庭に立ち入らないと避難経路の確認ができないことがあります。これらに該当する居室の居住者に、事前に立ち入りについて説明・了解を得ておく必要があります。

*1階の専用庭は、一般的には共用部だが管理規約で専用使用エリアと定められる。

以上のように、調査を円滑に進めるためには、調査する箇所とそのための事前準備のポイントを抑え、所有者・管理者・居住者の方々のご理解・ご協力を得ておくことが不可欠です。

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