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建物診断とは?実施の目的とおもな検査項目、流れなどを全解説

2024/07/09

建物は日々風雨や日光にさらされており、定期的に修繕しなければ躯体や設備が劣化して景観を損ね、資産価値が低下してしまいます。資産価値の低下を防ぐためには、定期的な修繕が欠かせません。建物をいつどのように修繕すべきかの判断材料となるのが「建物診断」です。建物診断を実施することで、建物の現状を確認でき、現在必要な工事や将来必要となる工事を明らかにできます。

本記事では、大規模修繕を視野に入れたマンションを例に、建物診断の概要と目的、おもな検査項目、建物診断の流れを解説します。記事を参考に建物診断を実施し、修繕に役立ててください。

建物診断とは?

「建物診断」とは、建物の所有者や管理者の依頼を受けて実施される建物の調査・診断のことです。建物診断は建物の現状把握のために定期的に実施されるほか、必要な工事を洗い出すためにマンションの大規模修繕に先立って実施されることもあります。

建物診断では、建物の竣工図面や過去の修繕履歴などを確認したうえで、現在の建物の躯体そのものや屋上、外壁、給排水管、空調換気、電気などの設備状況を詳細に調査します。

診断には専門知識が求められるため、基本的に調査会社などに委託して調査を実施します。建物の所有者や管理者の方は、建物診断の必要性を理解するとともに、どのような建物診断をいつすべきなのか把握し、計画的に調査会社に依頼しましょう。

建物診断を行なう目的

次に、建物診断を行なうおもな目的を解説します。

■建物・設備をメンテナンスして資産価値を長く保つため

適宜、必要なメンテナンスを実施しなければ、建物は経年とともに劣化し、資産価値は徐々に下がっていきます。

そこで、資産価値の下落を最小限にとどめることを目的に、定期的な建物診断を依頼するオーナーも少なくありません。建物診断を実施することで、建物・設備の状況をその都度把握でき、必要な対策を講じられるようになるのです。

■建物の現状を把握し、無駄なく修繕工事を行なうため

記事冒頭でも述べたとおり、建物診断は大規模修繕の前に行なわれるケースが多いです。工事の前に建物診断を実施することで、建物の劣化の有無やその程度を専門家の視点で洗い出せるため、現状に即した無駄のない工事の実施が可能になります。

■適切な修繕時期を判断するため

マンションの劣化を防ぎ、機能性を維持するには定期的な修繕が欠かせません。マンションの大規模修繕は、各マンションの長期修繕計画に基づいて、通常、およそ12~15年の周期で実施されます。大規模修繕にあたっては、工事開始予定の1年~1年半ほど前に建物診断を実施し、その結果を受けて、あらためて大規模修繕の時期を検討するマンションも少なくありません。建物診断を行なうことで、今必要な工事を明らかにできるのです。

■状況に応じて、長期修繕計画を見直すため

長期修繕計画は、25年や30年といった長い期間を想定して、将来実施する修繕工事の内容、時期、費用などを盛り込んでいます。ただし、実際の建物の劣化状況は、当初の想定と異なる場合もあります。当初の計画を見直さずに実行すると、必要な修繕が実施できない、修繕積立金が不足するといった事態になる可能性があります。したがって、おおよそ5年ごとに建物診断を実施して、診断結果に基づき、長期修繕計画の内容を見直すことが推奨されます。

建物診断のおもな検査項目

建物診断の検査項目は建物の規模や構造、建物に付随する設備の種類などによって異なります。以下の表は、建物が劣化していないか検査する際の調査項目の一例です。

建物診断の検査項目例
部位 調査項目
躯体 ひび割れ、爆裂、欠損、コンクリート中性化、コンクリート圧縮強度
屋上防水 屋上、塔屋、ルーフバルコニー
外部塗装 一般外壁、天井
鉄部塗装 屋上、共用廊下、バルコニー
シーリング 外壁・サッシュ周り、タイル打継目地
内部仕上げ 床、壁、天井
外構 塗装、フェンス、駐輪場、ごみ置き場
電気設備 幹線・非常設備、コンセント
給排水衛生設備 給水・排水・消火設備、換気設備

※塔屋(とうや)とは、ビルやマンション屋上で上に突き出した建造物のこと。

建物診断の流れ

建物診断は、おおむね以下の流れで実施されます。

(1)建物の状況・関連資料の確認

建物診断を依頼する前に、新築時からの竣工図書や、修繕工事・点検の記録などを確認します。また、管理組合で事前に調査する、住民へアンケートを実施するなど、調査すべき箇所を明らかにしておきます。

(2)見積もりの提示

複数の業者に見積もりを依頼します。金額だけでなくサービス内容や調査後のサポートの有無、調査実績なども含めて比較し、委託する業者を選択しましょう。

(3)契約

委託する業者が決定したら契約を結びます。

(4)必要書類の確認・調査手配

建物診断に必要な書類を確認し、調査手配します。診断にあたって調査員が建物に出入りするため、建物診断の日程などをあらかじめ住民に周知し、調査への協力を依頼しておきましょう。

(5)現地調査

現地調査を行ないます。建物の所有者、管理者の方は、必要に応じて調査に立ち会います。

(6)報告書作成・調査者押印

調査会社が建物調査診断報告書を作成します。作成された報告書を確認し、今後どのような対応が必要なのか検討しましょう。

まとめ

建物診断は建物の現状を把握し、必要な修繕工事を洗い出すのに欠かせません。躯体や屋上防水、外部塗装、鉄部塗装などを調査・診断し、診断結果に応じて必要な修繕工事を実施しましょう。

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