大阪府の定期報告(12条点検)の対象建物、報告時期とは?~管轄の特定行政庁一覧も紹介~
最終更新:2023/05/24
建築基準法に定められている定期報告(12条点検)では、特定の建築物を所有または管理している人に対し、定期的な点検と報告を義務付けています。
検査の対象となる建築物の用途や規模、報告の時期は特定行政庁によって異なります。建物の状態を維持し、人々が建物を安全に利用できるようにするためにも、定期報告を欠かさないようにしてください。
この記事では、定期報告の概要を解説し、大阪府における定期報告の対象建築物と報告時期をご紹介します。自身が所有または管理している建物が検査対象となっているかを確認し、検査対象の場合は、早めに検査の準備を始めてください。
そもそも定期報告(12条点検)とは?
病院や学校、デパート、ホテルなど、不特定多数の人が利用する施設では、建物の老朽化や避難設備・建築設備の不備などにより、重大な事故が発生するリスクがあります。
このような事故の防止だけではなく、建築物の安全性の確保、適法性の維持などのために行なわれるのが定期報告です。定期報告は過去に発生した事故を受け、何度か制度内容が改正されており、点検項目等が変更されています。
定期報告は建築基準法に定められており、専門の技術者が建築物や付帯設備を定期的に調査・検査し、特定行政庁に報告することが義務付けられています。検査の内容や時期を知り、建物の適正管理に努めましょう。
実施すべき「定期調査・検査報告」は、特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4つです。これら4つの定期検査は建築基準法第12条に定められており、「12条点検」とも呼ばれています。
12条点検について、調査・検査ごとにそれぞれ簡単に解説します。
特定建築物定期調査
特定建築物定期調査は、幅広い用途の建物に対して行なわれる調査で、建物の劣化損傷や防災上の問題点について調査します。調査対象となる建築物の用途や規模、報告を行なうべき時期は、管轄する特定行政庁によって異なるため注意してください。
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特定建築物定期調査とは? 具体的な調査項目について紹介します
防火設備定期検査
防火設備定期検査は、火災による被害を最小限にするために必要とされる、防火設備の設置状況や作動状況を確認する検査です。具体的には、防火扉や防火シャッター、ドレンチャー、耐火クロススクリーンなどの防火設備の検査を実施します。
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建築設備定期検査
建築設備定期検査は、建築物の付帯設備の不具合による事故を防止することを目的としています。検査対象は、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備および排水設備です。ただし、大阪府内では給排水設備は検査の対象外となっています。
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昇降機等定期検査
昇降機等定期検査では、エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機などを対象に、その安全性を検査します。国などが所有または管理する建築物を除く、すべての建築物の昇降機等に対して検査が義務付けられています。
【大阪府】特定建築物定期調査の対象となる建築物と報告時期
ここからは大阪府における特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の対象と報告時期を紹介します。
建築基準法上の検査済証(新築または改築のもの)の交付直後は報告が免除されます。
- 避難階※にのみ対象用途がある場合は定期報告対象外(ただし下記(A)および個室ビデオ店等の用途をのぞく)
- 各用途について(1)から(4)いずれかに該当するもの。防火設備の検査については(A)に該当するものも含む。
番号 | 建築物の用途 | 規模 (その用途に供する床面積の合計)※1 |
報告時期 |
---|---|---|---|
1 | 学校・学校施設の体育館 | (1)3階以上に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの (2)2,000平方メートル以上のもの |
令和7年 令和10年 令和13年 (以降3年ごとに1回) |
2 | ボウリング場・スケート場・水泳場・スポーツ練習場・体育館(学校体育館除く) | (1)3階以上に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※2 (2)2,000平方メートル以上のもの |
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3 | 博物館・美術館・図書館 | ||
4 | 事務所その他これに類するもの | (1)5階以上に対象用途があり、3,000平方メートル以上のもの | |
5 | 公会堂・集会場 | (1)3階以上に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※2 (2)客席部分が200平方メートル以上のもの (3)地階に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※3 (4)劇場・映画館・演芸場で主階が1階にないもの。ただし、その用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下および100平方メートルを超え200平方メートル以下で階数が2以下のものは定期報告対象外。 |
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6 | 劇場・映画館・演芸場 | ||
7 | 観覧場(屋外観覧場は除く) | ||
8 | ホテル・旅館 | (1)3階以上に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※2 (2)2階部分の対象用途の床面積が300平方メートル以上のもの(病院、診療所にあっては2階部分に患者の収容施設がある場合に限る) (3)地階に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※3 (A)病院、診療所、児童福祉施設等にあっては200平方メートルを超えるもの。この条件のみの場合、防火設備の定期報告に限る。 |
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9 | 病院 | 令和5年 令和8年 令和11年 (以降3年ごとに1回) |
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10 | 診療所(患者の収容施設があるもの) | ||
11 | 児童福祉施設等(※4)(要援護者の入所施設があるもの) | ||
12 | 百貨店・マーケット・展示場・物販店舗 | (1)3階以上に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※2 (2)2階部分の対象用途の床面積が500平方メートル以上のもの (3)地階に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※3 (4)3,000平方メートル以上のもの |
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13 | 飲食店 | ||
14 | キャバレー・カフェ・バー・ナイトクラブ・ダンスホール・遊技場(個室ビデオ店等を除く)・待合・料理店 | ||
15 | 公衆浴場 | ||
16 | 遊技場(大阪府建築基準法施行条例で定める個室ビデオ店、カラオケボックス、インターネットカフェ・漫画喫茶、テレフォンクラブ等に限る) | (1)200平方メートルを超えるもの(避難階にのみ用途がある場合も含む) | |
17 | 寄宿舎 | (1)3階以上に対象用途があり、1,000平方メートル以上のもの (2)5階以上に対象用途があり、500平方メートル以上のもの |
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18 | 寄宿舎(サービス付高齢者向け住宅、認知症対応型グループホーム、障害者支援グループホームに限る) | (1)3階以上に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※2 (2)2階部分の対象用途の床面積が300平方メートル以上のもの (3)地階に対象用途があり、100平方メートルを超えるもの※3 (A)200平方メートルを超えるもの。この条件のみの場合、防火設備の定期報告に限る |
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19 | 共同住宅(サービス付高齢者向け住宅に限る) | 令和6年 令和9年 令和12年 (以降3年ごとに1回) |
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20 | 共同住宅 | (1)3階以上に対象用途があり、1,000平方メートル以上のもの (2)5階以上に対象用途があり、500平方メートル以上のもの |
※ 避難階とは、直接地上へ通じる出入り口のある階のことをいいます。
※1 3棟以上ある場合、報告対象規模(面積・階数の判断)は各々の棟単位で適用します。
※2 表中(1)において、3階以上の階における対象用途の床面積の合計が100平方メートル以下のものは定期報告対象外です。(ただし表内番号1、4、16、17、20を除く)
※3 表中(3)において、地階における対象用途の床面積の合計が100平方メートル以下およびその用途に供する床面積の合計が100平方メートルを超え200平方メートル以下で、階数が2以下のものは定期報告対象外です。
※4 児童福祉施設等には以下のものを含みます。
- 助産施設、乳児院、障害児入所施設、助産所
- 盲導犬訓練施設
- 救護施設および更生施設
- 老人短期入所施設等、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム、有料老人ホーム
- 母子保健施設、障害者支援施設および福祉ホーム
- 障害福祉サービス(自立訓練または就労移行支援を行なう事業)
出典:大阪府「定期報告制度について(補足)」
【大阪府】防火設備定期検査の対象となる建築物と報告時期
検査対象 | 報告時期 |
---|---|
特定建築物定期調査の対象となる建築物に付帯する防火設備※ | 毎年1回 |
※ 特定建築物定期調査の表における番号20に該当する建築物については、住戸以外の共用部分(ホール・廊下・階段・集会室・管理人室等)に非常用エレベーターが設置されているものが報告対象となります。
出典:大阪府「定期報告制度について(補足)」
【大阪府】建築設備定期検査の対象となる建築物と報告時期
大阪府内では、給排水設備が検査の対象外となっている点に注意してください。
検査対象 | 報告時期 |
---|---|
特定建築物定期調査の対象※1となっている建築物に付帯する以下の設備 ・換気設備 ・機械排煙設備 ・非常用の照明装置 |
毎年1回※2 |
※ 大阪府内では給排水設備は検査の対象外です。
※1 特定建築物定期調査の表における番号1および2に該当する建築物については、防火設備定期検査の対象外です。
※2 共同住宅においては、住戸以外の共用部分(ホール・廊下・階段・集会室・管理人室等)に非常用エレベーターの設置されているものが報告対象となります。ただし、堺市、池田市内物件は報告対象外です。
出典:大阪府「定期報告制度について(補足)」
【大阪府】昇降機等定期検査の対象となる建築物と報告時期
検査対象 | 報告時期 | |
---|---|---|
エレベーター | 建築物に設けるエレベーター (かごが住戸内のみを昇降するエレベーター、労働安全衛生法の性能検査を受けなければならないエレベーターは除く) |
毎年 |
エスカレーター | 建築物に設けるエスカレーター | |
小荷物専用昇降機 | 建築物に設ける小荷物専用昇降機 (昇降路のすべての出し入れ口の下端が床面より50cm以上あがった位置にあるものを除く) |
出典:大阪府「定期報告制度について(補足)」
大阪府の特定行政庁一覧(定期調査・報告制度)
調査・検査後は、建築物等を管轄する以下の特定行政庁へ調査・検査結果を報告しましょう。特定行政庁が報告を確認したあと、結果が報告義務者に送られます。報告義務者は確認結果を確認し、改善が必要な場合は専門家と相談したうえで対応してください。
大阪市 | 豊中市 | 堺市 | 東大阪市 | 吹田市 | 高槻市 | 守口市 |
枚方市 | 八尾市 | 寝屋川市 | 茨木市 | 岸和田市 | 箕面市 | 門真市 |
池田市 | 和泉市 | 羽曳野市 | その他の市町村については大阪府 |
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建築物の安全性を保つには、定期的な検査が欠かせません。定期報告のルールを守り、適正に検査・報告するとともに、検査の結果、建物等に不備があった場合は早急に状況改善に努めましょう。
また、定期報告にかかる検査は、特定の資格を持った人しか行なえません。専門家に早めに相談し、検査・報告の時期を逃さないよう注意してください。
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