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北海道の定期報告(12条点検)の対象建物、報告時期とは?~管轄の特定行政庁一覧も紹介~

2023/02/24

不特定多数の人が利用する一定規模以上の建築物等や、エレベーター等の昇降機は、建築基準法に基づいて検査し、結果を特定行政庁へ報告しなければなりません。過去には、建築物の調査・点検を怠ったために大きな事故につながったケースもあるため、定期的に調査・点検を行なって安全管理に努めることが重要です。
定期報告の対象や報告時期は建築基準法や政令等で定められており、管轄する特定行政庁によって内容が異なる場合があります。

この記事では、定期報告の概要を解説し、北海道における調査・検査の対象と報告時期を ご紹介します。本記事を参考に、定期報告へ備えてください。

そもそも定期報告(12条点検)とは?

デパートやホテル、病院、学校など、不特定多数の人が利用する施設では、建物の老朽化や避難設備・建築設備の不備などにより、重大な事故が発生する可能性があります。建物の安全性を維持することは、建物の所有者や管理者の責務であり、事故の防止、建築物の安全性の確保、適法性の維持などのために行なわれるのが定期報告です。
建築基準法では、専門の技術者が建築物やその設備を定期的に調査・検査し、特定行政庁に報告することは義務となっています。検査対象となる建築物等を所有または管理している場合は、検査の内容や時期を知り、建物の適切な管理に努めましょう。

実施すべき「定期調査・検査報告」には、特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4種類があります。これら4つの定期検査は建築基準法第12条に定められており、「12条点検」とも呼ばれています。
12条点検について、調査・検査ごとにそれぞれ簡単に見ていきましょう。

特定建築物定期調査

特定建築物定期調査では、建物の劣化損傷や防災上の問題点について、幅広く調査します。調査対象となる建築物や報告を行なうべき時期は、建築物の用途や規模によって異なり、管轄する特定行政庁によっても違いがあるため、まずは特定行政庁が公表する検査対象を確認してください。

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防火設備定期検査

防火設備定期検査では、火災による被害を最小限にするために必要な、防火設備の設置状況と作動状況を検査します。検査対象は、防火シャッター、防火扉、ドレンチャー、耐火クロススクリーンなどの防火設備です。

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建築設備定期検査

建築設備定期検査では、建築物に付帯する設備の不具合による事故を防止することを目的に検査します。検査対象は、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備および排水設備です。

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昇降機等定期検査

昇降機等定期検査では、エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機などが検査対象です。具体的には、国などが所有または管理する建築物を除く、すべての建築物の昇降機等を検査します。

【北海道】特定建築物定期調査の対象となる建築物と報告時期

建築物の規模要件については、政令、道細則ともにいずれかの要件に該当するものが検査対象となります。

建築物の用途 建築物の規模要件 報告時期
劇場、映画館、演芸場 【政令】

イ 地階または3階以上の階を当該用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分(客席の部分に限る)の床面積の合計が200平方メートル以上の建築物

ハ 当該用途に供する建築物で、主階が1階にないもの

【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する床面積(客室の部分に限る)が200平方メートルを超える建築物

平成32年(令和2年)以後3年ごとの4月1日から9月30日まで
観覧場(屋外観覧場を除く)、公会堂、集会場

【政令】

イ 地階または3階以上の階を当該用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分(客席の部分に限る)の床面積の合計が200平方メートル以上の建築物

【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する床面積(客室または集会室の部分に限る)が200平方メートルを超える建築物

病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、児童福祉施設等(高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途があるもの) 【政令】

イ 地階または3階以上の階を当該用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する2階部分の床面積の合計が300平方メートル以上の建築物

*1 病院、診療所にあっては、2階部分に患者の収容施設がある場合に限る

*2 児童福祉施設等にあっては、高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途に供する2階部分の床面積の合計

【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が500平方メートルを超える建築物

平成31年以後3年ごとの4月1日から9月30日まで
児童福祉施設等(高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途がないもの) 【道細則】

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が1,000平方メートルを超える建築物

ホテル、旅館 【政令】

イ 地階または3階以上の階を当該用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する2階部分の床面積の合計が300平方メートル以上の建築物

【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が300平方メートルを超える建築物

平成33年(令和3年)以後3年ごとの4月1日から9月30日まで
共同住宅、寄宿舎【高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途(サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型老人共同生活援助事業もしくは共同生活援助を行なう事業の用に供するものに限る)】 【政令】

イ 地階または3階以上の階を高齢者、障害者 等の就寝の用に供する用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する2階部分の床面積の合計が300平方メートル以上の建築物

【道細則】(政令以外のもの)

イ 当該用途が3階以上のものであって、かつ、床面積の合計が1,000平方メートルを超える建築物

平成32年(令和2年)以後3年ごとの4月1日から9月30日まで
共同住宅、寄宿舎(上記以外のもの)および下宿 【道細則】

イ 当該用途が3階以上のものであって、かつ、床面積の合計が1,000平方メートルを超える建築物

体育館(学校に附属するものを除く) 【政令】

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が2,000平方メートル以上の建築物

【道細則】

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が5,000平方メートルを超える建築物

平成31年以後3年ごとの4月1日から9月30日まで
体育館(学校に附属するものに限る)および学校 【道細則】

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が5,000平方メートルを超える建築物

博物館、美術館、図書館(学校に附属するものを除く) 【政令】

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が2,000平方メートル以上の建築物

平成33年(令和3年)以後3年ごとの4月1日から9月30日まで
ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場(学校に附属するものを除く) 【政令】

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が2,000平方メートル以上の建築物

【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が2,000平方メートルを超える建築物

ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場(学校に附属するものに限る) 【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が2,000平方メートルを超える建築物

百貨店、マーケット、物品販売業を営む店舗(床面積が10平方メートル以内のものを除く) 【政令】

イ 地階または3階以上の階を当該用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する2階部分の床面積の合計が500平方メートル以上の建築物

ハ 当該用途に供する部分の床面積の合計が3,000平方メートル以上の建築物

【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が1,000平方メートルを超える建築物

毎年の4月1日から9月30日まで
キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店 【政令】

イ 地階または3階以上の階を当該用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する2階部分の床面積の合計が500平方メートル以上の建築物

ハ 当該用途に供する部分の床面積の合計が3,000平方メートル以上の建築物

【道細則】(政令以外のもの)

イ 3階以上の階を当該用途に供する建築物(3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計が100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する部分の床面積の合計が500平方メートルを超える建築物

展示場 【政令】

イ 地階または3階以上の階を当該用途に供する建築物(地階または3階以上の階の当該用途に供する床面積の合計がそれぞれ100平方メートル以下のものを除く)

ロ 当該用途に供する2階部分の床面積の合計が500平方メートル以上の建築物

ハ 当該用途に供する部分の床面積の合計が平方メートル3,000以上の建築物

事務所等 【道細則】

イ 当該用途が5階以上のものであって、かつ、床面積の合計が1,500平方メートルを超える建築物

平成33年(令和3年)以後3年ごとの4月1日から9月30日まで

※1 令和元年の建築基準法の改正により、該当する用途部分の床面積の合計が200平方メートルを超える特殊建築物が検査対象となりました。定期報告にあたっては、政令により、3階以上の階で当該用途に供する床面積の合計が100平方メートルを超え200平方メートル以下の建築物も検査の対象となっています。

※2 政令の要件に該当する建築物のうち、避難階のみを当該用途に供するものは定期報告の対象外です。

出典:北海道「定期報告

【北海道】防火設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

検査対象 報告時期

特定建築物定期調査の表における【政令】の要件に該当する建築物および病院、診療所、就寝用福祉施設の用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートル以上の建築物に設けた次の防火設備

  • 随時閉鎖または作動できる、防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーその他の水膜を形成する防火設備
毎年の4月1日から9月30日まで

出典:北海道「定期報告

【北海道】建築設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

検査対象 報告時期
特定建築物定期調査の表における【道細則】の要件に該当する建築物に設けた次の建築設備
(1)機械換気設備
(2)機械排煙設備
(3)非常用照明設備
毎年の4月1日から9月30日まで

出典:北海道「定期報告

【北海道】昇降機等定期検査の対象となる建築物と報告時期

検査対象 報告時期
エレベーター 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める期間

ア 基準月(法第7条第5項または法7条の2第5項(法第87条の4においてこれらの規定を準用する場合を含む)の規定による検査済証の交付を受けた日の属する月をいう。)が1月または6月から12月までである場合
当該基準月の2月前の月の1日から当該基準月の末日まで

イ 基準月が2月から5月までである場合
4月1日から6月30日まで

なお、令和2年度の定期報告が必要な昇降機等(平成31年1月31日以前に設置された昇降機等)にあっては、令和2年4月1日から令和3年1月31日までとし、令和3年度以降は、2年度に報告された月が基準月となります。

エスカレーター
小荷物専用昇降機
(昇降路のすべての出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面よりも50cm以上高いものを除く)

出典:北海道「定期報告

北海道の特定行政庁一覧(定期調査・報告制度)

特定建築物等の調査・検査が終了したら、報告書を作成して特定行政庁へ報告してください。北海道の特定行政庁は以下のとおりです。各特定行政庁では、定期報告に関する相談や質問等も受け付けています。

札幌市 函館市 小樽市 釧路市 苫小牧市
室蘭市 旭川市 帯広市 北見市 江別市

北海道の定期調査・報告なら、ビューローベリタスにお任せください!

定期報告は建物の安全性を確保するために欠かせない制度です。調査・検査の対象となる建物を所有または管理している方は、専門家へ調査を依頼し、定められた期日までに確実に特定行政庁へ報告しましょう。

定期報告の詳細は、特定行政庁ごとに異なります。調査・検査前に内容をよく確認し、不明な点があれば必ず特定行政庁へ問い合わせてください。

定期調査・報告でお困りの際には、専門の検査機関へ相談するのもおすすめです。世界最大級の民間検査・認証機関であるビューローベリタスなら、豊富な実績を持つ検査員が丁寧に検査を実施します。日本全国どこでも業務対応しているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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