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福岡県の定期報告(12条点検)の対象建物、報告時期とは?~管轄の特定行政庁一覧も紹介~

2023/02/27

不特定多数の人が利用する建築物の安全性が損なわれると、重大な事故が発生する危険性が高まります。過去には防火設備の不備によって死傷者が発生する事故も起こっており、建築物の所有者や管理者にとって建築物の安全性確保は責務となります。
特定の建築物での事故を防止するために、国や地方自治体が設けているのが定期報告(12条点検)です。

定期報告は特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4つの調査・検査で構成されています。建築物を定期的に調査・検査し、結果を特定行政庁へ報告することで、適切に管理されているかを確認します。
建築物の安全性を確保するためにも、定期報告の基本情報を知り、適切に実施できるよう準備を進めましょう。

この記事では定期報告の概要を解説するとともに、福岡県における定期報告の対象建築物、報告時期を検査の種類ごとに紹介します。

そもそも定期報告(12条点検)とは?

デパートや病院などの不特定多数の人が利用する施設には、建物の老朽化や避難設備・防火設備・建築設備の不備などにより、重大な事故が発生するリスクがあります。
建築物等の不備による事故を防止するだけではなく、建築物の安全性を確保し、適法性を維持するために行なわれるのが定期報告です。

建築基準法では、建物の所有者と管理者に対し、専門の技術者が建築物やその設備を定期的に調査・検査し、特定行政庁に報告することを義務付けています。検査の内容や時期を知り、建物の適切な管理に努めてください。
実施すべき「定期調査・検査報告」には、特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4種類があります。4つの定期検査は建築基準法第12条に定められていることから、「12条点検」とも呼ばれています。

12条点検について、調査・検査ごとにそれぞれ簡単に概要を見ていきましょう。

特定建築物定期調査

特定建築物定期調査では、建物の劣化損傷や防災上の問題点について幅広く調査します。調査対象となる建築物や報告時期は、建築物の用途や規模、管轄する特定行政庁によって異なります。また、調査は専門の資格を持った人しか行なえないため、専門家に依頼して調査を実施してください。

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特定建築物定期調査とは? 具体的な調査項目について紹介します

防火設備定期検査

防火設備定期検査は、火災による被害を最小限にするために必要な、防火設備の設置状況と作動状況を確認するための検査です。検査対象は、防火扉や防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなどの防火設備です。

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防火設備定期検査とは?誕生の背景や対象の建物、実施周期について

建築設備定期検査

建築設備定期検査は、建築物に付帯する設備の不具合による事故を防止することを目的とする検査です。検査対象は、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備および排水設備となっています。

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建築設備定期検査とは?検査内容や通知について、基本的な情報を紹介

昇降機等定期検査

昇降機等定期検査では、エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機などを対象に、設備の動作等を検査します。国などが所有または管理する建築物を除く、すべての建築物の昇降機等に対して検査が義務付けられています。

【福岡県】特定建築物定期調査の対象となる建築物と報告時期

ここからは福岡県における定期報告の対象建築物と報告時期を、検査ごとに紹介します。

対象建築物 規模 報告時期
劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場
  • 地階または3階以上の階のA >100平方メートル
  • 客席部分のA ≧200平方メートル(Aが避難階のみにあるものは除く)
  • 主階が1階にないもの(劇場・映画館・演芸場)
  • A >300平方メートル(劇場・映画館・演芸場・観覧場)
3年に1回
ホテル、旅館
  • 地階または3階以上の階のA>100平方メートル
  • 2階のA≧300平方メートル
  • 地階または3階以上の階にAを含み、かつA >300平方メートル
病院
  • 地階または3階以上の階に当該用途があるもの
  • 2階のA ≧300平方メートル
  • 階数が3以上かつA >300平方メートル

上記規模以外で、床面積が200平方メートルを超える建物は防火設備のみ対象

有床診療所
百貨店・マーケット・その他物品販売を営む店舗・展示場
  • 地階または3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧500平方メートル
  • A ≧3,000平方メートル(Aが避難階のみにあるものは除く)
  • 地階または3階以上の階にAを含み、かつA >1,000平方メートル(展示場を除く)
共同住宅※1
  • 5階以上に当該用途(福岡市のみ5階以上のいずれかの階のA >100平方メートル
地下街
  • 居室の床面積の合計>1,500平方メートル
飲食店(キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、および飲食店の用途に供する建築物)
  • 地階または3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧500平方メートル
  • A ≧3,000平方メートル(Aが避難階のみにあるものは除く)
就寝用福祉施設※2
  • 地階または3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧300平方メートル

上記規模以外で、床面積が200平方メートルを超える建物は防火設備のみ対象

体育館、博物館、美術館、図書館、ボウリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場(いずれも学校に附属するものを除く)
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • A ≧2,000平方メートル(Aが避難階のみにあるものは除く)

※  上記の用途・規模で、かつ建築基準法第6条第1項第一号に該当する建物が定期報告の対象となります。

※1 共同住宅の竣工時期によって検査対象を判断している特定行政庁があるため注意してください。

※2 就寝用福祉施設は以下のものを指します。

  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 認知症高齢者グループホーム
  • 障害者グループホーム
  • 助産施設、乳児院、障害児入所施設、助産所
  • 盲導犬訓練施設
  • 救護施設、更生施設
  • 老人短期入所施設、小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護の事業所
  • 老人デイサービスセンター(宿泊サービスを提供するものに限る)
  • 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム
  • 母子保健施設
  • 障害者支援施設
  • 福祉ホーム、障害福祉サービス(自立訓練または就労移行支援を行なう事業に限る)の事業所(利用者の就寝の用に供するものに限る)

出典:福岡県「定期報告制度の概要

【福岡県】防火設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

検査対象 報告時期
  • 防火扉
  • 防火シャッター
  • 耐火クロススクリーン
  • ドレンチャーその他水幕を形成する防火設備

※いずれも随時閉鎖式のものに限る

毎年

出典:福岡県「定期報告制度の概要

【福岡県】建築設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

検査対象 報告時期
上記の特定建築物に付帯する以下の設備
  • 排煙設備
  • 非常用の照明設備
  • 換気設備(居室のみ)
毎年

出典:福岡県「定期報告制度の概要

【福岡県】昇降機等定期検査の対象となる建築物と報告時期

住戸内のみを昇降する昇降機や、工場等に設置されている専用エレベーターは検査の対象外となっています。

検査対象 報告時期
  • エレベーター
  • エスカレーター
  • 小荷物専用昇降機(フロアタイプ)
毎年

出典:福岡県「定期報告制度の概要

福岡県の特定行政庁一覧(定期調査・報告制度)

調査・検査後は、結果を報告書にまとめて特定行政庁へ提出しなければなりません。福岡県における特定行政庁は、以下のとおりです。提出先を間違えないよう注意してください。

北九州市 福岡市 大牟田市 久留米市 それ以外の市町村の区域内のものについては福岡県

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建築物を安全な状態に保つためにも、建築物の所有者や管理者は確実に検査を実施し、特定行政庁へ報告するようにしましょう。報告を怠った場合は建物の安全性が損なわれるだけでなく、罰則が科される場合もあります。

検査の実施には、特定の資格を持った調査員等の協力が不可欠です。検査にお困りの際は、民間検査・認証機関であるビューローベリタスへご相談ください。

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*2021年度実績

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