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埼玉県の定期報告(12条点検)の対象建物、報告時期とは?~管轄の特定行政庁一覧も紹介~

2023/02/28

不特定多数の人が利用する建築物の建物本体や付帯設備が劣化損傷していると、事故が発生した場合に被害がより拡大する恐れがあります。過去には防火設備の不備により、火災の際に設備が動かず、死傷者が出た事件も発生しました。建物の安全性を確保することは、建物の所有者や管理者の責務となります。

建築物の安全性を保つ制度のひとつに、定期報告(12条点検)があります。定期報告は建築基準法に定められており、建物および付帯設備を定期的に調査・点検し、特定行政庁へ報告することを建物の所有者などに義務付けています。
定期報告の対象となる建築物や、いつ報告が必要なのかをしっかりと把握しておきましょう。

この記事では、定期報告の概要を調査・検査ごとに解説し、埼玉県における定期報告の対象物と報告時期をご紹介します。本記事を参考にしながら、定期報告に備えてください。

そもそも定期報告(12条点検)とは?

デパートやホテル、病院など、不特定多数の人が利用する施設において、建物の老朽化や避難設備・建築設備の不備などは、事故の被害を拡大させるリスクとなります。そこで、事故の防止や建築物の安全性の確保、適法性の維持などのために行なわれるのが、定期報告です。

建築基準法では、建築物やその設備を定期的に調査・検査し、特定行政庁に報告することは義務となっており、調査・検査は特定建築物調査員などの資格を持った人しか行なえません。調査・検査の内容や実施する時期を把握し、適切なタイミングで専門家へ検査を依頼することで、建物の適切な管理に努めましょう。

実施すべき「定期調査・検査報告」は、特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4種類です。これら4つの定期検査は建築基準法第12条に定められていることから、「12条点検」とも呼ばれます。

12条点検について、調査・検査ごとにそれぞれ簡単に解説していきます。

特定建築物定期調査

特定建築物定期調査は、建物の劣化損傷や防災上の問題点について幅広く調査を実施するもので、特定建築物調査員と1級・2級建築士のみが調査を行なえます。調査対象となる建築物や報告を行なうべき時期は、建築物の用途や規模、管轄する特定行政庁によって異なるため注意が必要です。

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特定建築物定期調査とは? 具体的な調査項目について紹介します

防火設備定期検査

防火設備定期検査では、防火設備の設置状況と作動状況を確認します。火災による被害を最小限にすることを目的としており、検査対象となるのは、防火扉や防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなどの防火設備です。

関連記事:
防火設備定期検査とは?誕生の背景や対象の建物、実施周期について

建築設備定期検査

建築設備定期検査は、建築物の付帯設備に不具合がないかを確認する検査です。検査対象は換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備および排水設備で、設備の不具合による事故の防止を目的としています。

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建築設備定期検査とは?検査内容や通知について、基本的な情報を紹介

昇降機等定期検査

昇降機等定期検査は、エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機などを対象に、機能や安全性を検査します。国などが所有または管理する建築物を除く、すべての建築物の昇降機などに対して、この検査が義務付けられています。

【埼玉県】特定建築物定期調査の対象となる建築物と報告時期

定期報告の対象となる建築物の用途や規模、報告時期は特定行政庁によって異なります。
ここからは、埼玉県における定期調査の対象と報告時期を、調査・検査ごとに紹介します。

用途等

規模等

(いずれかに該当するもの)
報告の間隔
劇場・映画館・演芸場
  • A >200平方メートル
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 主階が1階にないもの
  • 客席の部分のA ≧200平方メートル※3
  • 地階のA >100平方メートル
2年
観覧場(屋外観覧場を除く)・公会堂・集会場
  • A >500平方メートル
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 客席の部分のA ≧200平方メートル※3
  • 地階のA >100平方メートル
病院・診療所(患者の収容施設があるものに限る)・就寝用途の児童福祉施設等※1
  • A >500平方メートル
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧300平方メートル(病院または診療所にあっては、その部分に患者の収容施設があるものに限る)※3
  • 地階のA >100平方メートル
ホテル・旅館
児童福祉施設等※2(入所施設があるものに限り、就寝用途の児童福祉施設等※1を除く)
  • A >500平方メートル
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 地階のA >100平方メートル
共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く)
  • 6階以上の階にあるもの
3年
共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅に限る)
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧300平方メートル※3
  • 地階のA >100平方メートル
寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る)
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧300平方メートル※3
  • 地階のA >100平方メートル
学校(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校および大学を除く)
  • A >2,000平方メートル
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
2年
体育館(学校に附属するものを除く)
  • A >2,000平方メートル
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • A=2,000平方メートル※3
博物館・美術館・図書館・ボウリング場・スキー場・スケート場・水泳場・スポーツの練習場(学校に附属するものを除く)
  • A >2,000平方メートル
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • A=2,000平方メートル※3
3年
物販販売業を営む店舗(床面積が10平方メートル以内のものを除く)
  • A >1,500平方メートルかつ2階以上の階にあるもの
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧500平方メートル※3
  • 地階のA >100平方メートル
  • A ≧3,000平方メートル
2年
百貨店・マーケット・展示場
  • 3階以上の階のA >100平方メートル
  • 2階のA ≧500平方メートル※3
  • A ≧3,000平方メートル※3
  • 地階のA >100平方メートル
キャバレー・カフェー・ナイトクラブ・バー・ダンスホール・遊技場・公衆浴場・待合・料理店・飲食店
  • 地階または3階以上の階にあるもの
  • A >1,500平方メートルかつ2階にあるもの
  • A ≧3,000平方メートル※3
  • 2階のA≧500平方メートル※3
事務所その他これに類するもの
  • A >2,000平方メートルかつ6階以上の階にあるもの
3年

※  Aはその用途に供する床面積の合計。

※1 就寝用途の児童福祉施設等とは以下に掲げるものを指します。

  • 助産施設、乳児院および障害児入所施設
  • 助産所
  • 盲導犬訓練施設
  • 救護施設および更生施設
  • 老人短期入所施設その他これに類するもの
  • 養護老人ホーム、特別養護老人ホームおよび軽費老人ホームならびに有料老人ホーム
  • 母子保健施設
  • 障害者支援施設、福祉ホームおよび障害福祉サービス事業(自立訓練または就労移行支援を行なう事業に限る)の用に供する施設(利用者の就寝の用に供するものに限る)

※2 児童福祉施設等とは以下に掲げるものを指します。

  • 児童福祉施設(幼保連携型認定こども園を除く)、助産所
  • 身体障害者社会参加支援施設(補装具製作施設および視聴覚障害者情報提供施設を除く)
  • 保護施設(医療保護施設を除く)、婦人保護施設、老人福祉施設、有料老人ホーム
  • 母子保健施設、障害者支援施設
  • 地域活動支援センター、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援または就労継続支援を行なう事業に限る)の用に供する施設等

※3 当該用途に供する部分が避難階のみにあるものを除く

出典:埼玉県「定期報告が必要な特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機等

【埼玉県】防火設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

用途等 規模等
(次のいずれかに該当するもの)
報告の間隔
火災時に煙や熱を感知して閉鎖または作動する次の防火設備(防火ダンパーを除く)
  • 防火扉
  • 防火シャッター
  • 耐火クロススクリーン
  • ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備
次のいずれかの建築物に設けられるもの
  • 特定建築物に該当する建築物
  • 以下に掲げる用途のうち、A ≧200平方メートルの建築物
    • 病院、診療所(患者の収容施設のあるものに限る)
    • 共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅に限る)
    • 寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る)
    • 就寝用途の児童福祉施設等※1
1年

※1 就寝用途の児童福祉施設等とは以下に掲げるものを指します。

  • 助産施設、乳児院および障害児入所施設
  • 助産所
  • 盲導犬訓練施設
  • 救護施設および更生施設
  • 老人短期入所施設その他これに類するもの
  • 養護老人ホーム、特別養護老人ホームおよび軽費老人ホームならびに有料老人ホーム
  • 母子保健施設
  • 障害者支援施設、福祉ホームおよび障害福祉サービス事業(自立訓練または就労移行支援を行なう事業に限る)の用に供する施設(利用者の就寝の用に供するものに限る)

出典:埼玉県「定期報告が必要な特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機等

【埼玉県】建築設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

用途等 報告の間隔
特定建築物に設けられる以下のもの
  • 換気設備(自然換気設備および共同住宅の住戸に設けるものを除く)
  • 排煙設備(排煙機を有するもの)
  • 非常用の照明装置
  • 給水設備および排水設備(共同住宅の住戸に設けるものを除く)
1年

出典:埼玉県「定期報告が必要な特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機等

【埼玉県】昇降機等定期検査の対象となる建築物と報告時期

用途等 報告の間隔
  • エレベーター
  • エスカレーター
  • 小荷物専用昇降機

ただし、次に掲げるものを除く

  • かごが住戸内のみを昇降するもの
  • 労働安全衛生法施行令第12条第1項第6号に規定するエレベーター
1年

出典:埼玉県「定期報告が必要な特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機等

埼玉県の特定行政庁一覧(定期調査・報告制度)

定期調査が終わったら、管轄の特定行政庁まで調査結果を報告してください。特定行政庁とは、建築基準法に基づく許認可などを行なう権限を持つ行政庁のことを指します。
特定行政庁では、定期報告制度に関する相談や質問を受け付けています。わからないことがあれば問い合わせてみてください。

さいたま市 川口市 川越市 所沢市 越谷市 上尾市
草加市 春日部市 狭山市 新座市 熊谷市 久喜市

埼玉県の定期調査・報告なら、ビューローベリタスにお任せください!

定期報告の実施は、建物の所有者や管理者の義務です。定期報告を怠った、報告内容を改ざんした、報告によって見つかった不備を改善しなかったなどが発覚すると、罰則が科される場合があります。建物の安全性を確保するためにも、適切に定期報告を実施しましょう。

定期報告でお困りの際は、民間検査・認証機関であるビューローベリタスへご相談ください。ビューローベリタスは9,800件*の年間検査実績を持ち、定期報告に対応できる検査員が多数在籍しています。
検査についてわからないことや不安なことがあれば、ぜひ一度ビューローベリタスへお問い合わせください。

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