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兵庫県の定期報告(12条点検)の対象建物、報告時期とは?~管轄の特定行政庁一覧も紹介~

2023/03/27
最終更新:2023/05/24

不特定多数の人が利用する建築物の所有者や管理者は、建物の安全性を確保するために定期的に検査を実施し、特定行政庁へ報告しなければなりません。

建築基準法で定められた特定建築物とその付帯設備の検査・報告制度を、定期報告(12条点検)と呼びます。定期報告の対象となる建築物の用途や規模、報告時期は特定行政庁によって異なります。自身の所有または管理している建築物が検査対象となっているかを確認したうえで、適切に検査を実施してください。

この記事では、定期報告(12条点検)の概要を検査ごとに解説し、兵庫県における定期報告の対象建築物を紹介します。

そもそも定期報告(12条点検)とは?

不特定多数の人が利用するデパートやホテル、病院などの施設では、建物の老朽化や避難設備・建築設備の不備などにより、重大な事故が発生する可能性があります。防火設備の不備によって死傷者が出た事故も過去には起きており、建築物の適正な管理は、利用者の安全性を守るためにも非常に重要といえるでしょう。

事故の防止だけではなく、建築物の安全性の確保、適法性の維持などのために行なわれるのが定期報告です。

定期報告には、特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4種類があります。これら4つの調査・検査は建築基準法第12条に定められていることから、「12条点検」とも呼ばれています。

建築基準法では、専門の技術者が建築物やその設備を定期的に調査・検査し、特定行政庁に報告することを義務付けています。検査の内容や実施する時期を知り、建物の適切な管理に努めてください。

12条点検について、調査・検査ごとにそれぞれ簡単に見ていきましょう。

特定建築物定期調査

特定建築物定期調査の調査対象は学校や病院、ホテルなど幅広く、対象建築物が建物の劣化損傷や防災上の問題点を持っていないか調査します。対象となる建築物や報告を行なうべき時期は、建築物の用途や規模、管轄する特定行政庁によって異なるため注意してください。

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防火設備定期検査

防火設備定期検査では、防火扉や防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなどの防火設備に対する検査を実施します。防火設備は火災による被害を最小限にするために必要不可欠であり、検査では防火設備の設置状況と作動状況を確認します。

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建築設備定期検査

建築設備定期検査は、建築物に付帯する設備の不具合による事故防止を目的とする検査です。検査対象は、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備および排水設備となっています。

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昇降機等定期検査

昇降機等定期検査では、エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機などが検査対象となっています。国などが所有または管理する建築物を除く、すべての建築物の昇降機などに対して検査が義務付けられているのが特徴です。

【兵庫県】特定建築物定期調査の対象となる建築物と報告時期

用途ごとに規模の規定が細かく設定されており、報告時期も異なるため注意してください。

なお、ここで紹介する定期調査および検査の対象は、特定行政庁を兵庫県とする場合に適用されます。兵庫県を特定行政庁としない市での調査・検査については、対象地域の特定行政庁へ確認してください。

用途 規模等
(A:用途欄の用途に供する部分の床面積の合計)
報告の時期
1 劇場、映画館、演芸場 ・Aが200平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上かつ主階が1階以外にある建築物のうち、Aが100平方メートルを超えるもの
令和5年7月~10月
以降、3年ごと
2 観覧場(屋外に避難上有効に開放されているものを除く)、公会堂、集会場 ・Aが200平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
3

病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、児童福祉施設等(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものに限る)

・Aが300平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
・2階(避難階である場合を除き、病院または診療所にあっては、患者の収容施設がある場合に限る。)におけるAが300平方メートル以上のもの
4

児童福祉施設等(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く)

・Aが300平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
5 ホテル、旅館 ・Aが300平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
・2階(避難階である場合を除く。)におけるAが300平方メートル以上のもの
令和3年7月~10月
以降、3年ごと
6 下宿、共同住宅、寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームを除く) ・6階以上の階におけるAが100平方メートルを超えるもの
共同住宅、寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る) ・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの(避難階以外の階を当該用途に供するものに限る。)
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの(避難階以外の階を当該用途に供するものに限る。)
・6階以上の階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・2階(避難階である場合を除く。)におけるAが300平方メートル以上のもの
7 学校 ・Aが2,000平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
令和4年7月~10月
以降、3年ごと
8 体育館、博物館、美術館、図書館、ボウリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 ・学校に附属するもので、Aが2,000平方メートルを超えるもの
・学校に附属しないもので、Aが2,000平方メートル以上のもの(1階および2階がいずれも避難階であり、かつ、Aが2,000平方メートルのものを除く。)
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
9 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店または物品販売業(物品加工修理業を含む)を営む店舗 ・Aが500平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
・2階(避難階である場合を除く。)におけるAが500平方メートル以上のもの
10 事務所その他これに類するもの 階数が5以上かつ延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの

※  以下に掲げる用途をいう。
① 助産施設、乳児院、障害児入所施設 ② 助産所 ③ 盲導犬訓練施設 ④ 救護施設、更正施設 ⑤ 老人短期入所施設等 ⑥ 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム ⑦ 母子保健施設 ⑧ 障害者支援施設、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(自立訓練または就労移行支援を行う事業に限る。)の用に供する施設(利用者の就寝の用に供するものに限る。)

※1 上表は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」)第12条第1項に基づく定期報告が必要な建築物として、同項に規定する安全上、防火上または衛生上特に重要であるものとして建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「政令」)第16条第1項で定める建築物(以下「政令指定建築物」)と当該政令で定めるもの以外で兵庫県知事が指定した建築物(以下「知事指定建築物」)を併せて表記したものであり、それぞれを区別した表示はしていません。

※2  政令指定建築物は、安全上、防火上または衛生上特に重要である建築物を指定する観点から、通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ない建築物(避難階以外の階を対象の用途に供しないもの。以下「避難階以外対象用途なし建築物」)を定期報告の対象としていませんが、知事指定建築物は、避難階以外対象用途なし建築物であることをもって定期報告の対象外とする考え方は有していません。したがって、上表において、特に記載がない限り、当該用途に供する部分が避難階にあるものであっても、定期報告の対象となります。

※3 同一敷地内に2棟以上ある場合は、その合計面積ではなく、それぞれの棟ごとに上表に該当するか否かを判断し、棟ごとに報告してください。

※4 法第7条第5項または第7条の2第5項の規定に基づく検査済証の交付を受けた年度の翌年度以降最初に到来する当該建築物の報告の時期における報告は不要とし、その次の時期から報告を開始してください。

出典:兵庫県「定期報告を要する特定建築物及び特定建築設備等

【兵庫県】防火設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

検査対象となる防火設備は、随時閉鎖または作動をできるものを指します。外壁開口部の防火設備や防火ダンパーは検査対象となりません。

用途 規模等
(A:用途欄の用途に供する部分の床面積の合計)
報告の時期
1 特定建築物 特定建築物の表に同じ

毎年

7月~10月
2 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る) Aが200平方メートルを超えるもの
高齢者、障害者等の就寝の用に供するもの

※  以下に掲げる用途をいう。
① 共同住宅、寄宿舎(いずれもサービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホームまたは障害者グループホームに限る。) ② 助産施設、乳児院、障害児入所施設 ③ 助産所 ④ 盲導犬訓練施設 ⑤ 救護施設、更生施設 ⑥ 老人短期入所施設等 ⑦ 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム ⑧ 母子保健施設 ⑨ 障害者支援施設、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(自立訓練または就労移行支援を行う事業に限る。)の用に供する施設(利用者の就寝の用に供するものに限る。)

※1 上表は、法第12条第3項に基づく定期報告が必要な防火設備として、同項に規定する安全上、防火上または衛生上特に重要であるものとして政令第16条第3項(第2号)で定める防火設備(以下「政令指定防火設備」)と当該政令で定めるもの以外で兵庫県知事が指定した防火設備(以下「知事指定防火設備」)を併せて表記したものであり、それぞれを区別した表示はしていません。

※2 政令指定防火設備は、安全上、防火上または衛生上特に重要である防火設備を指定する観点から、通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ない防火設備(避難階以外の階を対象の用途に供しない建築物(病院、診療所または高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く。)に設けるもの。以下「避難階以外対象用途なし防火設備」)を定期報告の対象としていませんが、知事指定防火設備は、避難階以外対象用途なし防火設備であることをもって定期報告の対象外とする考え方は有していません。

※3 同一敷地内に2棟以上ある場合は、その合計面積ではなく、それぞれの棟ごとに上表に該当するか否かを判断し、棟ごとに報告してください。

※4 法第7条第5項または第7条の2第5項の規定に基づく検査済証の交付を受けた年度の翌年度の報告は不要とし、その次の年度から報告を開始してください。

出典:兵庫県「定期報告を要する特定建築物及び特定建築設備等

【兵庫県】建築設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

建築設備定期検査の検査対象

検査対象 概要
換気設備 法第28条第2項ただし書または第3項の規定により設置した換気設備のうち、その風道が防火区画を貫通し、政令第112条第21項の規定により特定防火設備(温度ヒューズホルダー連動ダンパーを含む)を設けたものに限る。
排煙設備 法第35条または政令第129条の13の3第13項の規定により設置する排煙設備のうち、排煙機または送風機を設けたもの(機械排煙)に限る。
非常用の照明装置 法第35条の規定により設置する非常用の照明装置のうち、政令第126条の5に規定する予備電源で蓄電池別置型または自家発電設備によるものを設けたものに限る。

建築設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

用途 規模等
(A:用途欄の用途に供する部分の床面積の合計)
報告の時期
1 劇場、映画館、演芸場 ・Aが200平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上かつ主階が1階以外にある建築物のうち、Aが100平方メートルを超えるもの

毎年

7月~10月
2 観覧場(屋外に避難上有効に開放されているものを除く)、公会堂、集会場 ・Aが200平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
3 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、児童福祉施設等 ・Aが300平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
4 ホテル、旅館 ・Aが300平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
5 博物館、美術館、図書館、ボウリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 ・Aが2,000平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
6 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店または物品販売業(物品加工修理業を含む)を営む店舗 ・Aが500平方メートルを超えるもの
・Aが200平方メートルを超え、かつ、地階におけるAが100平方メートルを超えるもの
・階数が3以上の建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの
7 事務所その他これに類するもの 階数が5以上かつ延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物のうち、地階または3階以上の階のいずれかにおけるAが100平方メートルを超えるもの

※1 上表は、法第12条第3項に基づく定期報告が必要な建築設備として、兵庫県知事が指定したものです。

※2 同一敷地内に2棟以上ある場合は、その合計面積ではなく、それぞれの棟ごとに上表に該当するか否かを判断し、棟ごとに報告してください。

※3 法第7条第5項または第7条の2第5項の規定に基づく検査済証の交付を受けた年度の翌年度の報告は不要とし、その次の年度から報告を開始してください。

出典:兵庫県「定期報告を要する特定建築物及び特定建築設備等

【兵庫県】昇降機等定期検査の対象となる建築物と報告時期

検査対象 報告の時期
エレベーター
エスカレーター
小荷物専用昇降機(フロアタイプ)
毎年1回

※ 住戸内のみを昇降する昇降機および工場等に設置されている専用エレベーター(労働安全衛生法施行令第12条第1項第6号に規定するエレベーター)は検査の対象外です。

出典:国土交通省「新たな定期報告制度の施行について

兵庫県の特定行政庁一覧(定期調査・報告制度)

定期調査・検査の結果は、必ず期限内に管轄の特定行政庁へ報告してください。兵庫県における特定行政庁は以下のとおりです。
定期調査・検査に関する相談も各特定行政庁で受け付けているため、不明な点があれば問い合わせてみてください。

神戸市 尼崎市 姫路市 西宮市 伊丹市 明石市
加古川市 宝塚市 川西市 三田市 芦屋市 高砂市
その他の市町の区域については兵庫県

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建築基準法に定められている定期報告(12条点検)は、建物の安全性を確保するために欠かせない制度です。制度の対象となる建築物や設備は特定行政庁によって異なるため、注意してください。

定期報告にかかる調査や検査は、専門の資格を持つ人しか行なえません。検査の時期を逃さないようにスケジュール管理を徹底し、早めに専門家へ検査を依頼するようにしましょう。

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