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宮城県の定期報告(12条点検)の対象建物、報告時期とは?~管轄の特定行政庁一覧も紹介~

2023/04/17

不特定多数の人が利用する特定建築物と、その付帯設備を対象に実施される調査・点検および報告を、定期報告(12条点検)と呼びます。検査対象となる建築物などを所有または管理している方は、定期報告を適正に実施し、建物と設備の安全性の維持に努めてください。

定期報告は、報告の対象物によって特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4つに分かれています。検査対象となる建築物などの所在地によって、検査の詳細が異なるため注意してください。

この記事では、定期報告の概要と宮城県における定期報告の対象建築物および報告時期を解説していきます。

そもそも定期報告(12条点検)とは?

デパートやホテル、病院などの、不特定多数の人が利用する施設で、建物の老朽化や避難設備・建築設備の不備などがあると、重大な事故が発生する可能性が高まります。

事故の防止や建築物の安全性の確保、適法性の維持などのために行なわれるのが定期報告です。

定期報告については建築基準法で定められており、専門の技術者が建築物やその設備を定期的に調査・検査し、特定行政庁に報告することが義務となっています。検査の対象となる建物の所有者や管理者は、検査の内容や実施時期を知り、建物の適切な管理に努めましょう。

実施すべき「定期調査・検査報告」は、特定建築物定期調査、防火設備定期検査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査の4種類です。これら4つの定期検査は建築基準法第12条で定められているため、定期報告は「12条点検」とも呼ばれています。

12条点検について、調査・検査ごとに概要を見ていきましょう。

特定建築物定期調査

特定建築物定期調査では、建物の劣化損傷や防災上の問題点について幅広く調査します。調査対象となる建築物や報告を行なうべき時期は、建築物の用途や規模、管轄する特定行政庁によって異なるため注意してください。

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防火設備定期検査

防火設備定期検査は、近年発生した火災事故を受けて、平成28年の法改正によって新設された検査です。検査では、火災による被害を最小限にするために必要な、防火設備の設置状況と作動状況を確認します。検査対象は、防火扉や防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなどの防火設備です。

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建築設備定期検査

建築設備定期検査は、建築物に付帯する設備の不具合による事故を防止することを目的とした検査です。検査対象は、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備および排水設備であり、設備の設置状況や作動状況を確認します。

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昇降機等定期検査

昇降機等定期検査では、エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機などを検査します。国などが所有または管理する建築物を除く、すべての建築物の昇降機などに対して検査が義務付けられています。

【宮城県】特定建築物定期調査の対象となる建築物と報告時期

ここからは、宮城県における定期調査の対象となる建築物と報告時期を見ていきましょう。まずは特定建築物定期調査について解説します。

報告は3年ごとに行ない、報告月は建築物の用途によって異なります。また、仙台市・石巻市・塩竃市および大崎市は、それぞれの市が別に報告時期を定めているため、対象地域の建築物を調査する場合は注意してください。

特定建築物定期調査の対象物

建築物代表用途 具体的な用途 建築基準法第6条第1項第一号および同法施行令第16条に規定されるもののうち、次のいずれかの規模に該当するもの
店舗等 百貨店・マーケットおよび物品販売業を営む店舗
  • A>100平方メートル(地階または3階以上の階における当該用途の床面積の合計)※1
  • A≧500平方メートル(2 階の当該用途の床面積の合計)※2
  • A≧3,000 平方メートル※1
  • A≧1,000平方メートル(2 階以上の階に当該用途に供する売場があるものに限る)
展示場・キャバレー・カフェー・ナイトクラブ・バー・ダンスホール・遊技場・公衆浴場・待合・料理店および飲食店
  • A>100平方メートル(地階または3階以上の階における当該用途の床面積の合計)※1
  • A≧500平方メートル(2 階の当該用途の床面積の合計)※1
  • A≧3,000 平方メートル※1
  • A≧1,000 平方メートル(2 階以上の階を当該用途に供するものに限る)
劇場等・集会場等 劇場・映画館・演芸場・観覧場(屋外観覧場を除く)・公会堂・集会場
  • A>100平方メートル(地階または3階以上の階における当該用途の床面積の合計)※1
  • A≧200 平方メートル(客席部分の床面積の合計)※1
  • 主階が1階にないもの(劇場・映画館・演芸場の用に供するものに限る)※2
旅館等 旅館・ホテル
  • A≧300平方メートル
  • A>100平方メートル(地階における当該用途の床面積の合計)※1
  • A>100平方メートル(3 階以上の階における当該用途の床面積の合計)
病院等 病院・診療所等(患者を入院させる施設のあるものに限る。)
共同住宅等 サービス付き高齢者向け住宅・認知症高齢者グループホームおよび障害者グループホーム※2
  • A≧300 平方メートル(2階の当該用途の床面積の合計)※1
  • A>100平方メートル(地階または3階以上の階における当該用途の床面積の合計)※1
  • A≧1,000平方メートル(3階以上に当該用途を有するものに限る)
上記以外の共同住宅・寄宿舎および下宿
  • A≧1,000 平方メートル(3階以上に当該用途を有するものに限る)
児童福祉施設等 児童福祉施設で高齢者・障害者の就寝の用に供するもの※3
  • A≧300平方メートル
  • A>100平方メートル(地階における当該用途の床面積の合計)※1
  • A>100平方メートル(3階以上の階における当該用途の床面積の合計)
上記以外の児童福祉施設
  • A≧300平方メートル
  • A>100平方メートル(3階以上の階における当該用途の床面積の合計)
博物館・美術館等 博物館・美術館,体育館・図書館・ボウリング場・スケート場・水泳場またはスポーツの練習場
  • A>100平方メートル(3階以上の階における当該用途の床面積の合計)※1
  • A≧2,000平方メートル(2階以上の階を当該用途に供するものに限る)
学校・事務所等 学校・事務所その他これに類するもの
  • A>1,000平方メートル(5階以上の階を当該用途に供するものに限る)

※1 該当する用途部分が避難階のみにあるものは対象外です。

※2 用途が児童福祉施設等で建築確認を受けているものは、定期報告も児童福祉施設等での取り扱いとなります。

※3 児童福祉施設のうち、高齢者・障害者の就寝の用に供するものは、以下の用途のものを指します。

  • 助産施設・乳児院・障害児入所施設
  • 老人短期入所施設(小規模多機能型居宅介護の事業所・看護小規模多機能型居宅介護の事業所を含む)
  • 盲導犬訓練施設
  • 老人デイサービスセンター(宿泊サービスを提供するもの)・養護老人ホーム
  • 母子保健施設
  • 特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム
  • 助産所・救護施設・更生施設
  • 障害者支援施設・福祉ホーム
  • 障害福祉サービス(自立訓練または就労移行支援を行なう事業に限る)を行なう事業所 (利用者の就寝の用に供するものに限る)

特定建築物定期報告の時期

建築物代表用途 報告時期(報告は3年ごと。検査済証が交付された直後の報告時期を除く)
店舗等 4月~6月
劇場等・集会場等 7月~9月
旅館等 宮城県(A)※1 4月~6月
宮城県(B)※2 7月~9月
病院等 10月~12月
共同住宅等 10月~12月
児童福祉施設等 10月~12月
博物館・美術館等 10月~12月
学校・事務所等 4月~6月

※1 宮城県(A)北部・気仙沼・東部の各土木事務所所管区域

※2 宮城県(B)大河原・仙台の各土木事務所所管区域

出典:宮城県「定期調査報告対象建築物等一覧表

【宮城県】防火設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

防火設備定期検査の対象となるのは、特定建築物定期調査の対象となる建築物に付帯する防火設備です。また、児童福祉施設等に該当する用途で、床面積が200平方メートル以上に設けられる防火設備も報告の対象となっています。

報告は毎年の定められた時期に行なってください。報告月は対象建築物の用途によって異なります。

建築設備等 定期検査報告時期
防火設備(随時閉鎖式または作動をできるものに限る。) 毎年
検査済証が交付された直後の報告時期を除く

※  常時閉鎖式の防火設備(普段は閉鎖された状態となっており、開放してもドアクローザーなどで自動的に閉鎖状態に戻る方式のもの)、防火ダンパー、外壁開口部の防火設備は検査対象外です。

出典:宮城県「定期調査報告対象建築物等一覧表

【宮城県】建築設備定期検査の対象となる建築物と報告時期

特定建築物定期調査の対象となる建築物に付帯する建築設備は、毎年定められた時期に報告が必要です。報告月は対象建築物の用途によって異なります。

建築設備等 定期報告時期
換気設備(中央管理方式の空調設備に限る)
排煙設備(排煙機を有する排煙設備に限る)
非常用の照明装置(蓄電池別置形・自家発電機形・両者併用型に限る)
毎年
検査済証が交付された直後の報告時期を除く

出典:宮城県「定期調査報告対象建築物等一覧表

【宮城県】昇降機等定期検査の対象となる建築物と報告時期

昇降機等定期検査では、エレベーターやエスカレーター等が検査の対象となります。設置月を基準に毎年報告が必要であるため、調査時期を逃さないようスケジュール管理を徹底してください。

建築設備等 定期報告時期
エレベーター
エスカレーター
小荷物専用昇降機(フロアタイプに限る)
設置月を基準に毎年報告する
検査済証が交付された直後の報告時期を除く

※ 昇降路のすべての出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面よりも 50cm以上高いものは検査対象外です。

※ エレベーターは、労働安全衛生法施行令第12条第1項第6号に規定するエレベーター、かごが住戸内のみを昇降する昇降機は検査の対象外です。

出典:宮城県「定期調査報告対象建築物等一覧表

宮城県の特定行政庁一覧(定期調査・報告制度)

定期調査の報告は特定行政庁に対して行ないます。宮城県の特定行政庁は以下のとおりです。

仙台市 石巻市 塩竃市 大崎市 その他の市町村は宮城県

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建築物と設備の安全性を確保することは、建物の所有者や管理者の責務です。定期報告の概要や報告時期を知り、建築物などの適正管理に努めましょう。

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